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シニアがキャンピングカーでアメリカを横断 ハプニング続きの20日間、5人が6千㎞走破 前文

期 間:4月25日~5月14日
参加者:上井司誠(77歳) 野塩渥美(63歳) 部服孝男(69歳) 野岡美明(70歳)  齋藤三男(72歳)
ルート:  ロサンゼルス~ニューヨーク     移 動: キャンピングカー

 時間とともに私が「ひと回り大きくなった」との意識が芽生えてきた。
 アメリカについて、「おぼろげな印象」しか持っていなかったが、横断してしっかりイメージできるようになった。
 太平洋と大西洋に挟まれ、北はカナダ、南はメキシコに隣り合い、その面積は世界で3番、日本の22倍、人口も世界3位で3億2775万人、移民国家で世界最大の経済・軍事大国、世界の警察官。そして、僅か250年の歴史。
 これを感覚的に感性的に把握できたことが「ひと回り大きくなった」との意識になったようだ。
 メディアで「アメリカ」という言葉、文字が踊らない日はない。我々は否応なくアメリカとの関連において物事を判断せざるを得ない環境にあろう。「アメリカがクシャミすれば日本は風邪をひく」とは言い古された言葉であるが、それは益々、真実味を深めている。トランプ大統領の言動は、それを誰の目にも明らかにしている。しかし、私はアメリカと我々との関連を無意識・受動的に見ていたようだ。
 私は横断によって感覚的・感性的にアメリカについて理解を深め、それとの対比によって、日本・世界を意識することになり、アメリカを日本・世界を考える上での立脚点とする事ができた。
 諸々のことが日本は「アメリカの影響下にある」と書物から読み取り、言い聞かされもし、そのように理解してきた。しかし、実感が伴わなかった。今は不思議なことに「影響下にある」ことを感じている。
 全ての人が富士山を知っている。人は富士山を麓から登って、その高さを実感し、山頂から眼下に点在する山々を眺めて、それらの高さ・形状を理解するであろう。そして、富士山の高さも再確認する。
 アメリカを知らない人はいない。そして、多くの人々が旅しているであろう。しかし、麓から山頂に登らないと、理解が途切れてしまうのではないか。
 私はロサンゼルスを麓・登山口としニューヨークを頂上と見做しキャンピングカーで登りつめた。5人は入植者によって西に西にと開拓が進められたその最終地点であるロサンゼルスを出発地点としてニューヨークまで逆走横断をした。そして、富士山の頂上から眼下を眺めるように、超大国アメリカの頂上、ニューヨークから世界・日本を眺め、意識することになった。極めて比喩的であるが、私にとってはそのように表現してもあながち誤りとは言えない。
 インドが大好きで度々、旅する。弓なりの日本に想いを馳せながらブラブラするが、アメリカ、世界に想いを馳せる事はなかった。それはインドが最高地点でなく見渡すことができなかったからだ。多くの点でインドはアメリカの対極にあり、アメリカをイメージする上では大いに役立っているが。
 問題は富士山が自然現象で、そしてそこからの山々の高さ・形状も目視できるが、アメリカは社会的現象であり目視だけでは理解出来ない、その理解には社会科学を総動員しなくてはならない。そうであったにしても、確かなことは横断によって、視点・立脚点をアメリカ、ニューヨークにも打ち立てる事ができた事である。視点・立脚点を築ければ目的の半分は達成したことになろう。しかし、その半分も残り半分達成の努力なしには無に帰すかもしれない半分である。「生かすか無にするか」は専ら私の努力による。私はこの課題と生涯向き合うことになろうが、自分の立ち位置を明らかにするこの作業、これ程楽しいことはない。快晴の富士山頂から四方八方の山々を、その美しい山々を眺めたいものだ。

 横断は多くの方々の支援によって成し遂げる事ができた。同行4人の協力なくして横断は不可能であった。発案者で準備に努力された2人は都合で参加できなかった。参加者であったA氏、B氏は出発を直前にして体調を崩し「迷惑をかける」と言って「申込金」を返上して参加を断念した。彼らの参加を前提とした企画で、定員8名を確保できなければ企画倒れであった。参加者の募集に当たって地元新聞社、その他にもお世話になった。多くの方々からも問い合わせがあった。私の家族にも心配をかけた。エルモンテRVジャパンの山崎雅一氏は最後まで励まして下さった。
 それらが、この拙い旅行記を書く動機であった。私が「一回り大きくなった」こともパソコン文字打ち込みを楽にしてくれた。ここに深くお礼を申し上げたい。

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